Vol.13

期末考査期間中の放課後のことです。
大学の校舎の方から下校してくる高校生を見かけたので、
「今日はどこで勉強していたの?」と声を掛けると、
「大学の図書館です。」と答えてくれました。

試験勉強をするだけなら、自宅でもできます。
高校にも自習室があります。
それでも大学図書館へ足を運んだのは、いつもとは違う空気の中で集中したかったからかもしれません。
大学生と同じ空間で机に向かうことが、自分の気持ちを引き締めてくれたのかもしれません。

その数日後、東京家政大学博物館で開催されている企画展示「ありがとう百周年記念館! 東京家政大学博物館のこれまでとこれから」を見る機会がありました。
本学の百周年記念館にある博物館は、この秋、新しく完成する140周年記念館へ移転することになっています。
展示を見ながら、博物館の歩みを伝える資料一つ一つに目を留めていると、その場に立って初めて感じる歴史の重みのようなものがありました。

図書館と博物館。
試験期間中に大学図書館で勉強していた高校生の姿。
そして、博物館で学園の歴史に触れた時間。

別々の出来事でしたが、不思議と同じことを感じました。
それは、「学ぶ場所」には、その場所ならではの力があるということです。
そう考えてみると、このキャンパスには、教室以外にも学びのきっかけがたくさんあることに改めて気付きました。

今は、知りたいことがあれば、生成AIがすぐに教えてくれる時代です。
それは、とても便利で、これからの学びに欠かせない存在になっていくでしょう。
でも、実際にその場へ足を運び、その空気を感じ、その時間を過ごすことで得られるものがあります。
大学図書館で学ぶことも、博物館で展示を見ることも、知識を増やすだけではなく、「その場で学んだ」という実感を与えてくれるように思います。

大学図書館、博物館、緑豊かなキャンパス。
教室を一歩出たところにも、学びは広がっています。

夏休みは、普段とは違う場所へ足を運ぶことができる貴重な時間です。
図書館でも、美術館でも、博物館でも、自然の中でも構いません。
目の前の画面から少し離れて、自分自身をその場に置いてみる。
そんな時間が、新しい発見や、心に残る学びにつながるように思います。

校長 荒籾 和成